「誤解だらけの子育て」を読んだ感想と気づきをお伝えしたいと思います。
この本では、とにかく子どもも親も「睡眠」が大切だと力説されています。
今まで「睡眠時間を確保すること」で、「子育てが改善される」という視点の本は読んだことがなかったのですが、実際に現代の子どもたちも親も忙しくなっていてるので、「睡眠」について後回しになっている部分も多いと感じ、興味深く読みました。
「睡眠」を確保することで子育ての問題を解決できるという指摘は意外に新鮮で納得できる内容でした。また、実際にそういう事例をたくさん経験されてきたようです。
子育ての改善に意外なヒントがもらえると思います。
本の紹介「誤解だらけの子育て」
著者は成田奈緒子さん。小児科医の方で、2014年に子育て科学アクシスを立ち上げられています。この本では成田さんが経験された今までの事例などをもとにして「子育ての誤解」を45項目にして、解説されています。


まずは
楽天ブックスの内容紹介文から・・・
“「はじめに」より”
「誤解だらけの子育て」(成田奈緒子著)楽天ブックスの内容紹介より引用
私が小児科医になって、はや35年以上が経ってしまいました。いろいろな親子に出会ってきましたが、私が本当にいつも残念だと思うのは、親御さんが子どもを思ってした行動が、結果として子どもにまったく伝わってない、どころかむしろ害悪になっていることがあまりにも多いことです。
現代の子育ての状況を見ていると、情報過多の中で理想とされる子ども像を描き、それに向かって必死に育て上げようとするけれど、思ったように子どもが「動いてくれなくて」こころ折れ、結果、無駄に怒ったり悲しんだりしている親御さんが多いと感じます。とても閉塞した利己的な育児環境だと思います。
子どもはもっとつらいです。逃げ場のない家庭環境で苦しんだ挙げ句にさまざまな心身症状が表れます。
現代の子育てを「利己的な育児環境」と表現されています。
子どものための子育てなのか、親のための子育てなのか。

印象に残った内容を5つピックアップします
おもに「「睡眠」の大切さです
親も寝ることは重要です
(1)人間の脳には育つ順番があるので、順番を間違えてはいけないこと
5才までは「からだの脳」を育てることが大切ですが、その時期に早期教育を詰め込み、無理におりこうさんを求めると、脳全体がアンバランスになってしまい、後々こころの問題として表面化し、相談にくるケースがよく見られるそうです。
「からだの脳(生きるための機能)」→「おりこうさん脳(言葉・勉強・スポーツ等)」→「こころの脳(判断力・人間らしい能力)」の順番に育ち、その順序が変わることは絶対にないと言い切っておられます!
(2)まずは「からだの脳」が育つのに必要な睡眠リズムを確立すること
睡眠リズムを整えることで、少しくらい不安なことがあっても「まぁいいか」「大丈夫」と思えるようになり解決できるようになるそうです。睡眠時間は長さだけでなく、朝は太陽とともに目覚める生活が重要だそうです!
幼少期からのハードな塾通いは子どもの脳を育てるのに必須である「早寝早起き」の生活リズムを乱し、子育て科学アクシスにも不眠や頭痛、腹痛といった症状に悩まされる小4、5年生たちがたくさん相談に来られるそうです・・・。つらいですね・・・。
(3)親もしっかり「睡眠」を
子どもや家庭のためにと、あれこれ尽くして寝不足になると親の脳にも影響が及び、ささいなことが気になったり子どもに過干渉になったり、不安が強くなり子育てにも悪循環が及ぶそうです。
さらにおどろくのは、「子ども第一」になりすぎるあまり、50才前後から急に体調を崩す方が多くみられるそうです。(なんかつらいですよね・・・)
だから、「親御さんこそしっかり寝てください」と声を大にして言いたいとおっしゃっています。
(4)「宿題」よりも「睡眠」を優先させる
「宿題を終わらせること」を生活の真ん中に置き、「寝る時間と夕食の時間」を守ることを第一優先にすることで、生活リズムがつき、子どもの行動が落ち着き、宿題もできるようになるそうです。
理屈でなく分かる・・・。心が落ち着くと、勉強も集中してできるようになるんだと思います・・・。
宿題をするのに時間がかかるまたはその集中力がなく親が付き添う必要がある子どもに対して、無理に宿題をさせてからご飯にしようすると、「逆効果になる」ということです。
「宿題が進まない」→「ご飯がおそくなる」→「睡眠時間が不足する」→「朝起きられない」→「集中力がなくなる」→「宿題ができない」という悪循環になるのだと感じました。
(5)「家庭の中での役割」をもたせる
子どもが行う「家事」を「気が向いた時だけするお手伝い」とするのではなく、「その人がその役割を果たさなければ他の家族が困る」というような役割を与えることが大切だとおっしゃっています。
家庭の中でお互いに協力し、感謝をすることは役割を与えられているからわかることで、それが子どもの自己コントロール力を育て、生きる力につながるとおっしゃっています。
感想・気づき
子ども時代は子どもらしく育てた方がいい
やっぱり、子どもは子どもらしく育てた方がいいんだな、と思いました。
子どもは子どもらしく、まずは早寝早起きの生活リズムをつけてやること。
その「睡眠」が子どもの心が安定するための土台になるのだということ。
また、しっかりごはんを食べて、時には思いっきり感情のままに行動することも経験しておかないといけないと思いました。

感情のままに行動していた子ども時代を過ごしつつ、成長とともにだんだんと協調性や社会性を身につけさせていくのが、順番なんだと思います。
例えばですが・・・、
トランプやカルタで負けたとき、小さな子どもは顔を真っ赤にして泣きますよね。
この時ならではの姿だな・・・と感じ、その子どもらしい貴重な姿をかわいいな~と味わっています。
泣いてる姿を見守り、がんばったのに負けてくやしいよね・・・とそういう感情をまず出させてやることが大切なんだと思います。
それから、「あ~ぁ。そんなに泣いたら周りのみんなが困っているよ・・・。」という雰囲気が子どもにも伝わっていき、だんだんと成長とともに、感情のままに泣いてしまうことも少なくなっていくのだと思います。
そういうふうに、年齢とともに少しづつ心が育つ過程を経ることが大切なんだと・・・。
だから、小さい時から無理させることはないと思います。
無理させた結果、高学年になったときにそれが「消化できていなかった何か」として問題化しないとは限りませんから。。。
子どもは、その時にしかできない経験の中で育っていくのが自然なのだと思います。
子どものころにしができない経験って大事です。
お友達と夢中になって遊ぶ、ゲームで盛り上がったり、またトラブルや仲直り、そういった中でもまれながら少しづつ心も成長していくのだと感じます。
それが相手の気持ちを「思いやる」心を育てることになるのです。
心を育てるって時間がかかります。
そして、中学生になれば「自分で善悪の判断をできる心」を育てていかないといけません。
そのために、小学生時代の下地が必要だと感じている今日この頃です。
子どもを王さまに育ててはいけない
親がなんでもやってあげて当然ではないという項目にも共感しました。
何かあったときに、「ありがとう」と「ごめんなさい」を心から言えるようになってほしいです。

この本を読んで、それに加えて「おかげさま」という言葉も一緒に伝えていかないといけないなと感じました。
一部引用してご紹介します ↓
誤解27 親がなんでもやってあげて当然 より
「親は子どものためにできることをやってあげるのが当たり前」という環境で、まるで王様のように扱われて育った人は、果たして将来どうなるのでしょうか。
社会に出れば、100%自分の希望に叶う職場や、うまの合う上司ばかりと巡り合えるわけではありません。むしろ思い通りにならないことの方が多いものです。そうしたときに「周囲は自分のために尽くすのが当然」という考え方がインプットされてしまっている人は、あっという間に息詰まるリスクを抱えています。(中略)
「誤解だらけの子育て」(成田奈緒子著)より引用
ぜひしっかりと「ありがとう」「ごめんなさい」「おかげさまで」というコミュニケーションが交わされる家庭にしてください。
当たり前のことかもしれないのですが、生きていくうえで大切なことです。
また、成田奈緒子さんは「子育てを変えれば脳が変わる」という本も書かれています。

内容は重なっている部分も多かったですが、この本は「子どもの脳の発達」のことについてより詳しく書かれていました。
「思いやりの心」が育つのは10才からとおっしゃっています。
別の著者の本でもそういうことが書いてあったのを読んで衝撃を受けた記憶がありますので、やっぱりそうなんだと感じました。
「子どもの思いやりの心を育てること」についてはこちらの記事をどうぞ▽