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「思考の整理学」(外山滋比古著)の感想【おすすめ度★★★★☆】

母の本

外山滋比古氏については、別の著書を読んでいた際に引用されていたので気になっていたのですが、この前たまたま書店で平積みにされているのを見つけましたので、これもご縁だと感じ、興味深く読みました。帯には「東大・京大で一番読まれた本」として紹介されています。

「どのように考えればいいのか」という内容の本なので、内容としては固いですが、一部に子育てにも通じる内容がありましたので、その部分を簡単にご紹介します。

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見つめるナベは煮えない

外国に”見つめるナベは煮えない”ということわざがある。

早く煮えないか、早く煮えないか、とたえずナベのフタをとっていては、いつまでたっても煮えない。あまり注意しすぎては、かえって、結果がよろしくない。しばらくは放っておく時間が必要だということを教えたのものである。

「新版 思考の整理学」(外山滋比古著より引用)

これは「思考」についての話ですが、待つ時間の重要性を述べられていて、子育てにも通じるところがあると思い人生においても非常に大切なことを述べられているように感じました。

幼年、少年時代の重要さ

作家にとってもっともよい素材は幼年時代の経験であると言われる。幼いころのことをもとにして書かれた、幼年物語、少年物語、そういう名はついていなくても、そういう性格の作品が、すぐれていない作家は凡庸であるとしてよい。

なぜ、作家の幼年、少年物語にすぐれたものが多いのか。素材が充分、寝させてあるからだろう。結晶になっているからである。余計なものは時の流れに洗われて風化してしまっている。長い間、心の中であたためられていたものには不思議な力がある。寝させていたテーマは、目をさますと、たいへんな活動をする。なにごともむやみと急いではいけない。

「新版 思考の整理学」(外山滋比古著より引用)

幼年、少年時代の経験が、後々たいへんな活動をすることがあるということです。

子どもの幼年、少年時代を勉強ばかりで終わらせてはいけないと感じました。

今すぐに役に立たないことでも、寝かせることで、あたためることで、どのような結果になるかわかりません。

少年時代の物語といえば「次郎物語」です。外山氏の述べられているように、作者・下村湖人氏の幼年・少年時代をもとに書かれています。

幼年、少年、青年時代までの話が上・中・下巻と続いています。主人公の次郎の心の動きが細かく描かれていて、一気に物語に引き込まれました。男の子におすすめです。

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※講談社青い鳥文庫の次郎物語は、子ども向けで、途中までの内容で終わっています。
全話読みたい方は新潮文庫の次郎物語をよんでください。

努力をすればどんなことでも成就するように考えるのは思い上がりである

努力をすれば、どんなことでも成就するように考えるのは思い上がりである。努力しても、できないことがある。それには、時間をかけるしか手がない。幸運は寝て待つののが賢明である。ときとして、一夜漬けのようにさっと出来上がることもあれば、何十年という沈潜ののちに、はじめて形をととのえるということもある。いずれにしても、こういう無意識の時間を使って、考えを生み出すということに、われわれはもっと関心をいだくべきである。

「新版 思考の整理学」(外山滋比古著より引用)

子どもにも、「努力すればなんでもできるようになる」とは言えません。

「努力してもできないことがある、だけどできるところまでやってみよう」

「できるところまで、がんばってごらん」

子どもたちにはそんなふうに言うことにしています。

ものごとをたくさん知ることで自由な考えというものが生まれにくくなる

知識はそれを持っているだけで、ものを考える手間や面倒さを省いてくれるから、知識が増えれば増えるほど、ものを考えないという悪循環が生じ、”知識の量”と”思考の力”が反比例していく。ものごとをたくさん知ることで、自由な考えというものが生まれにくくなり、クリエイティブでなくなる。たくさんの勉強をした人や勉強がよくできる子などに見られる痛ましい現象である。

(中略)

私は”思考”という自らで考えることをたいへんに大事だと思うが、決して知識が要らないといっているのではない。知識をうまく生かしながら、それを自分にしかできない、個性的で独創的な思考と融合させていくことである。

「新版 思考の整理学」(外山滋比古著より引用)

知識が増えることが必ずしもプラスになることばかりではないということ。

何かを得れば何かを失うということだと思います。

とにかく知識一辺倒にならないよう、自ら考える”思考”の大切さを子どもたちにも伝えていきたいと思いました。

若いあなたへ伝えたいこと

純粋ではないもの、雑然たるものには力がある。ときにそこから新しいものが生まれてくる。そういう発想を大事にしてください。外国のまねごとをしたり、受動的に教わるだけでなく、新しい文化を自分の力で作り上げていく。そのために、いま、勉強をする。

「新版 思考の整理学」(外山滋比古著より引用)

最後に10代、20代の若い方たちへのメッセージが書かれていました。

40代になり気づいたこと、思うことがたくさんあります。

若いころに読んでおきたかったとは思いますが、今が読むべき時だったのかもしれません。

外山氏は子育ての本もたくさん書かれています。こちらの記事もどうぞ▽